シリーズ:果実のサイエンス ― シャインマスカットから考察する、フレーバー開発の最前線 ― 第1回(全6回)世界の食用ブドウ
2025.07.22 香料コラム
はじめに
香り豊かな果物として、多くの人に親しまれているブドウ。
その味わいや香りの違いは、品種や産地によって大きく異なります。
本コラムでは、日本と世界のブドウ事情に迫りながら、「なぜ日本のブドウは香り豊かなのか?」、そして第4回以降は「シャインマスカット」の魅力を独自に解析し、科学的視点と市場動向を交えて全6回にわたり紹介していきます。
第1回 世界の食用ブドウ
ブドウは秋を代表する果物ですが、今では年間を通して楽しめる果物となっています。特に、種がなく皮ごと食べられる品種は、その手軽さから人気が高まっています。ブドウは大きくヨーロッパブドウとアメリカブドウに分けられ、ヨーロッパブドウはワインやレーズンに使われることが多く、アメリカブドウは病害虫に強く、降水量の多い気候に適しています。日本では縄文時代からブドウが栽培されており、現在の主要品種である巨峰やシャインマスカットは、ヨーロッパブドウとアメリカブドウの交雑種です。特にシャインマスカットは近年人気が高まり、栽培面積も急増しています。