香りが拓く新しい価値創造 〜五感で味わう食体験 ― クロスモーダルが描く未来〜
2026.01.13 フレーバー開発, 香料コラム
ここ10年でクロスモーダルへのアプローチは飛躍的な進化を遂げています。
クロスモーダルは視覚・聴覚・味覚・触覚、そして嗅覚といった五感の相互作用現象です。一般的に「味」と呼ばれているものが、味覚や嗅覚だけでなく、盛り付けの美しさ、カリカリ、ザクザクといった食感や音に影響されるのもクロスモーダルの一例です。
その先駆的研究として、東京大学・鳴海准教授の「メタクッキー」が有名です。メタクッキーはゴーグル型ディスプレイとフレーバー提示装置で構成されます。実際に食べているものより拡大・縮小したクッキー画像を見せることで満足感を変化させたり、フレーバー提示でチョコやイチゴなど1つのクッキーで様々なフレーバーを楽しむことができます。
5年以内では、ストーリーに合わせた映像と音響(プロジェクションマッピング)の中で食事を楽しむ「イマーシブダイニング」や、電気刺激で味覚の相乗効果を誘発させる「エレキソルト」(明治大学・宮下教授)など、クロスモーダルデバイスが我々の生活に近づきつつあります。
2025年12月に開催された「Dentsu Lab Tokyo Open Lab 2025」(汐留)にて、ファントムスナックに続くクロスモーダルデバイス「吸うラーメン」がお披露目されました。ベープ式の端末から水蒸気を吸うことで、ラーメンの香り(当社開発の「ラーメンフレーバー」)と「ズルズル」という振動を感じ、あたかも麺を「すする」ような感覚を得られる仕組みです。
「吸うラーメン」は老化や嚥下障害のある方に「食べる楽しみ」を提供するだけでなく、より身近に、塩分やカロリーを気にしている方、飲み会後にダメとわかりつつ〆の麵を食べてしまう方にも朗報なデバイスです。 このように、香りは加工食品だけでなく、クロスモーダルデバイスなど食体験そのものの進化に貢献しています。当社は今後も香りの力を活かして多様な分野で新たな価値創造に挑戦し続けます。

屋台は本物、のれんからCMまでこの日のために準備されたもの、お茶目な「麺テナンス中(=準備中)」。

デバイスのデザインも50年代アメリカンダイナー風で、ポップで楽しい。
Dentsu Lab Tokyo :https://dentsulab.tokyo/
ファントムスナック:https://dentsu-ho.com/articles/8546