食品トレンドはこうして見つける ― 香料メーカーの市場調査の舞台裏
2026.03.27 フレーバー開発, 香料コラム

曽田香料では11月から12月の調査を経て、年始にその年のトレンド予測を行っています。
私たちは香料メーカーとして、食品メーカーを主な顧客とするBtoB企業です。食品メーカー各社は、常に生活者を丁寧に観察し、その声や価値観の変化を捉えながら商品開発を進めています。だからこそ、私たち香料メーカーもまた、食品メーカーと同じく「生活者の視点」に立つことが不可欠です。

そのための重要な取り組みの一つが、トレンド予測です。トレンドとは、単なる一時的な流行ではなく、生活者の意識や行動の変化が積み重なった結果として現れるものです。

「今、何が支持されているのか」
「その背景にはどのような社会的・心理的要因があるのか」
「これからどのような価値観が広がっていくのか」

こうした問いを立てながら、未来の兆しを読み解いていきます。
では、こうしたトレンドはどのように調査しているのでしょうか。
市場調査員の仕事は、大きく三つの活動から成り立っています。

まず、文献調査です。
専門書や業界レポートに加え、女性誌や旅行雑誌などのライフスタイル媒体、インターネット記事、SNSなど幅広い情報源を確認します。特に近年は、InstagramなどのSNSも重要な観察対象です。新しいカフェメニューや話題のスイーツなど、生活者のリアルな関心が日々発信されているためです。

続いて、社内外の人へのヒアリングです。
文献調査の中で生まれた疑問や仮説について、営業担当者から顧客企業や業界の動向を共有してもらったり、フレーバリスト(調香師)やアプリケーター(食品に香料を応用する技術者)から技術的な視点を教えてもらったりします。市場調査員は、過去から現在までの情報には詳しい一方で、必ずしも「現場の生きた情報」を持っているとは限りません。そのため私たちは常に「教えていただく」「すべてが学び」という姿勢を大切にしながら、社内の専門家の知見を集めています。

最後に、現地でのフィールド調査です。
実際に街に出て店舗を訪れ、商品を自分の目で見て、香りや味を確かめます。例えば最近では、東京・表参道エリアのカフェやベーカリーを訪れ、話題のメニューや店舗の雰囲気を調査しました。

インターネットを使えば、多くの情報を簡単に得られる時代です。しかし、実際に見て、聞いて、香りや味を確かめる体験から得られる気づきは、やはり特別なものです。こうして得た実感は、顧客への提案やプレゼンテーションの言葉にも説得力を与えてくれます。

もちろん、未来を正確に予測することは容易ではありません。もし未来が確実に見通せるのであれば、経済活動に苦労はないでしょう。それでも私たちは、変化の兆しを捉え、仮説を立て、検証を重ねながら、少しでも未来に近づこうと努力を続けています。

イタリアの科学者、**ガリレオ・ガリレイ**は次のように述べています。
「どんな真実も、発見してしまえば誰でも簡単に理解できる。大切なのは発見することだ。」
私たちはこの言葉を胸に、生活者の中に眠る“まだ言語化されていない価値”を発見し、香りというかたちで社会に届けていきます。

次回の香料コラムでは、こうした視点とプロセスをもとに、**曽田香料が読み解く「トレンド予測2026」**をご紹介します。
11月から12月にかけた調査を経て、年始に導き出した“これからの生活者の価値観”と“食の未来の兆し”。
香りの視点から見えてきた2026年のトレンドを、ぜひご期待ください。

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