複合臭におけるヒト嗅覚受容体応答解析に関する研究が「令和5年度におい・かおり環境協会賞 奨励賞」を受賞
2023.10.31 分析研究, 研究トピックス
私たちが日常生活で感じる香りは、数多くの香気成分から構成されています。例えば、コーヒーからは数百種類を超える香気成分が見つかっており、それらがまとまってコーヒーの香りとなっています。この複合的な香りをヒトがどのように感じているかを調べるために、ヒト嗅覚受容体を用いたアプローチで、そのメカニズム解明に取り組みました。その結果、複合臭におけるヒト嗅覚受容体の応答は、単純な香気成分の応答パターンの足し算にはならず、応答の増強と抑制の影響を受けることが示唆されました。
今回、公益社団法人におい・かおり環境協会から「本研究が嗅覚受容体の機能解明に向けた学術的研究に貢献するものである」と認められ、令和5年度におい・かおり環境協会賞 奨励賞※)を受賞いたしました。
関連した研究内容は、Bioscience, Biotechnology & Biochemistryおよびフレグランスジャーナル2023年9月号に掲載されています。
・Yasunaga M, Takai E et al.: Effects of 3-octen-2-one on human olfactory receptor responses to vanilla flavor. Biosci. Biotechnol. Biochem., 86, 1562-1569 (2022)
https://academic.oup.com/bbb/article-abstract/86/11/1562/6693932?redirectedFrom=fulltext
・安永元樹、高井英司ら: ヒト嗅覚受容体を用いた香りの相互作用の研究 フレグランスジャーナル 51, 51-57 (2023)
※) 「におい・かおり環境協会賞 奨励賞」とは:
におい・かおりに関する研究業績が、独創的又は萌芽的であり将来性に富むと認められた個人に贈呈することとし、受賞対象者は40歳以下の者とする。