“うどん県”香川の食文化を探る|学会参加で出会った奥深き風味 パート②
2026.06.11 フレーバー開発, 天然素材, 香料コラム

2026年5月15日(金)〜17日(日)に香川県高松市で開催された第80回日本栄養・食糧学会大会に参加し、現地でさまざまな香川グルメを体験してきました。本コラムは、今回の体験をもとに、3回に分けてお届けしてます。今回は、パート②として“うどん県”として知られる 香川県 の食文化や、印象に残った店舗をご紹介します。

<高松中央商店街>
高松中央商店街 は、高松駅から徒歩約10分。
8つの商店街で構成され、総延長約2.7kmを誇る、日本最大級のアーケード商店街です。
今回はその中から、印象に残った2店舗をご紹介します。

■素材感を楽しむジェラート
商店街を歩いている途中で見つけたジェラートショップ。
ジェラートは、王道ミルクなどのフレーバーだけでなく地域食材や季節限定フレーバーに出会えるため、出張先ではつい立ち寄ってしまいます。
今回は店員さんにおすすめされた「ピスタチオ」「プレミアムミルク」「デコポン」を選びました。

ピスタチオ:ナッツらしい香ばしさに加え、きな粉のような風味も感じられる濃厚な味わい。フレーバーのみで再現したタイプではなく、粒感もあり、素材感がしっかりと感じられました。

プレミアムミルク:ジェラート特有のきめ細かな結晶感がありながら、乳脂肪のコクもしっかり。軽やかさと満足感のバランスが印象的でした。

デコポン:柑橘らしい甘味と酸味に加え、アルベド(果皮の白い部分)を思わせるほろ苦さもあり、果実感の強いフレーバーでした。

■高松の街に溶け込むロースタリーカフェ
香料メーカーの社員として、出張先でカフェに立ち寄るのも楽しみのひとつです。
今回宿泊した兵庫町エリアで見つけたのが、こちらのカフェでした。
雑貨店が併設されており、店内はダークグレーを基調とした落ち着いた空間。開口部が広く、アーケードから差し込む柔らかな光が心地よい雰囲気を作り出していました。
印象的だったのは、ディスポーザブルの遠心分離チューブにコーヒー豆が小分けされていた点。作業効率とビジュアル性が両立されており、店舗演出としても興味深く感じました。
今回は以下の2種類を注文しました。

アイスカフェラテ:訪問日は5月にもかかわらず30℃を超える暑さだったため、アイスを選択。浅煎りながら酸味は穏やかで、ストロベリーを思わせる華やかな香りが印象的でした。浅煎りコーヒーが苦手な方でも楽しみやすい味わいです。

エスプレッソトニック:レモンシロップと炭酸にエスプレッソを合わせた一杯。夏にぴったりの爽やかな風味でした。一般的なコーヒー炭酸飲料は無糖タイプが多い印象ですが、こちらは程よい甘みがあり、全体のバランスが非常に良く感じられました。

今回体験したジェラートとカフェメニューからは、「風味のリアリティ」と「調和の設計」の重要性を強く感じました。

ジェラートでは、ピスタチオに見られる粒感や油脂感、ローストニュアンス、さらにはデコポンの甘味・酸味・ほろ苦さといった要素が重なり合うことで、素材の立体的な表現が実現されていました。これらは、トップノートに依存せず、厚みやテクスチャーまで含めて設計するフレーバー開発の可能性を示唆するものといえます。

一方カフェでは、コーヒーと柑橘、甘味、炭酸といった異なる要素を組み合わせながらも、全体として心地よいバランスが構築されていました。 こうした体験は、単なる香気の再現にとどまらず、素材特性や異なる香調をつなぐ設計を含めた総合的なアプローチの重要性を再認識させるものであり、今後のフレーバー開発に新たな可能性を広げてくれるものと感じました。

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