“うどん県”香川の食文化を探る|学会参加で出会った奥深き風味 パート①
2026.06.01 フレーバー開発, 天然素材, 香料コラム

2026年5月15日(金)〜17日(日)に香川県高松市で開催された第80回日本栄養・食糧学会大会に参加し、現地でさまざまな香川グルメを体験してきました。本コラムは、今回の体験をもとに、今後3回に分けてお届けします。今回は、“うどん県”として知られる 香川県 の食文化や、印象に残った店舗をご紹介します。

<うどん県・香川>
香川と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは「コシの強いうどん」ではないでしょうか。香川でうどん文化が発展した背景には、風土や産業の歴史があります。降水量が少なく晴天の多い気候は、米作よりも小麦栽培に適していたと言われています。また、製塩業や回船業の発展を経て、醤油醸造文化が根付いたことも、現在のうどん文化につながっているようです。さらに、香川では“朝うどん”の習慣があることでも知られています。実際に多くのうどん店は朝早くから営業しており、7時開店・17時閉店が一般的。なかには15時頃に店じまいする店舗もあり、地域に根付いた食習慣を感じました。

■セルフ式うどん店で味わう香川の日常
今回訪れた店舗のひとつは、セルフタイプのうどん店でした。あらかじめ茹でられた麺を自分で湯煎し、だし汁を注ぎ、天かすやおろしショウガなどを自由にトッピングします。今回は、とり天も追加していただきました。麺はやや柔らかめながらも心地よい食感で、だしの旨味が印象的。シンプルながら、毎日食べたくなるような一杯でした。

■“これぞ香川うどん”と感じた王道の一杯
別の店舗では、釜玉うどんを注文しました。お盆を持って注文し、うどんを受け取ったあとに揚げ物などを選んで会計する形式です。今回は釜玉うどんとちくわ天を選択。専用醤油をかけていただきました。しっかりとしたコシがあり、「これぞ香川うどん」という王道の味わい。麺自体にも塩味が感じられますが、専用醤油を加えることで全体の味がさらに引き締まります。また、細身のちくわ天はサクサクと軽やかな食感で、うどんとの相性も抜群でした。

■麺の“個性”を楽しむうどん
帰りの空港で立ち寄ったお店。特に印象的だったのは麺の形状。厚みが均一ではなく、場所によって食感に変化があり、食べ進める楽しさがありました。だし汁は、西日本らしい黄金色の薄口しょうゆベース。一般的に関西系のだしは色の淡さに反して塩分が高いとも言われますが、こちらは比較的穏やかな塩味に感じられました。麺そのものにしっかり塩味が付いているため、全体のバランスを考慮しているのかもしれません。

この「毎日食べられるおいしさ」は、強い香りではなく、だし・小麦・醤油それぞれの風味がバランス良く重なり合うことで成立していると感じます。香料開発においても、特定の香調を突出させるのではなく、ベースの旨味や塩味との調和を設計することが重要であり、和風フレーバー開発の本質的なヒントが隠れていると考えられます。

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